過敏性腸症候群と脳腸相関

直接的な障害が腸に認められないが、下痢や便秘、腹部違和感、腹痛といった症状を訴えるのが過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)です。若者層でも多く見られる疾患であり、こういったお腹の問題を抱えている方が増加傾向にあると言われています。また、この疾患を引き起こすのはストレスが要因になっていると考えられています。病とストレスは古くから密接な関与があると言われていますが、中でもストレスの刺激を直接的に受けてしまうのが胃腸といった消化管です。 脳には沢山の神経が存在していますが、これと同様の神経が腸にも分布していると言われています。脳と腸の神経は自律神経を介して結びついており、ストレスを脳で認識するとそれが腸へ伝導して蠕動運動(ぜんどううんどう)に異常を引き起こすという考え方があります。また、腸において便秘や下痢などの症状を引き起こすと、それがストレスとして脳に伝えられます。これが脳腸相関(のうちょうそうかん)と言われているもので、悪循環からストレスが次々に蓄積していきます。更に腸の内部にはさまざまな細菌が棲んでいますが、ストレスや緊張が持続するとこの腸内環境も悪くなります。すると微小なストレスでも腸は異常な反応を示し、それが脳へ伝えられるため、今度は脳も過敏に反応することになります。刺激を受けた脳は、感情に関わる部分に影響を及ぼし、これが不安感を募らせ、このことが更に腸の蠕動運動に悪影響を与えます。