加齢による機能低下
歳を重ねるごとに肝機能低下を招きますが、これは肝臓の細胞そのものの数が減ってしまうだけでなく、個々の細胞が機能低下を引き起こしていることに由来します。これらの影響が最も顕著に見られるのが薬による影響です。本来、人間の体に薬が取り込まれて効果を示すと、その後は肝臓で分解されます。しかし、加齢に伴って肝機能が低下すると、薬の分解がうまく行われず、薬の影響をいつまでも受けることになります。このため、副作用を発生させるリスクも上昇します。お年寄りに対して薬の投与量が減らされるのは、実は肝機能低下を懸念してのことです。
これに対し胃や十二指腸、小腸といった臓器は加齢による影響をあまり受けません。しかし、全体として見た場合、やはり機能低下を起こしているため、消化酵素の作用が鈍化したりします。また、胃酸分泌の減少や食べたものを吸収する機能の低下なども見られます。こういった理由から消化不良を招きやすい傾向にあるのも事実です。更に大腸も加齢に伴ってその機能を低くします。良く便秘が継続して見られるようになりますが、これは加齢によって大腸を制御している自律神経の働きが悪くなっていることなどが影響しています。
あまり知られていないものでは味覚の低下があります。特に塩辛さに対する感覚に見られ、最も感度の良かった頃のおよそ10パーセントほどにまで落ちるそうです。これは年齢を重ねるごとに味覚細胞の萎縮が起こるためです。尚、味覚細胞は舌の表面に存在しています。