自家融解

外部から食べ物が取り入れられなくなると、人間の体は重要な器官の働きを保つために、体にとって必要のないものを利用し出します。自然界では弱肉強食による生存競争があることは広く知られています。ある説では、人間が飢餓状態の際、弱い器官が犠牲にされて強い器官が生き残るというものがあります。これはいわゆる弱肉強食にあたり、人間の体の中でも同じような現象が起こるというものです。食物の摂取を遮ると、各臓器は、最初に体の中にある不要な脂肪分や老廃物を活動のエネルギーとして利用します。しかし、各臓器はその働きを維持するために蛋白質も必要とします。その際に利用されるのが、もともと健全な肉体にはなかった、腫瘍や炎症といった病変部の組織の蛋白質だという考え方があります。こうなると病変部の組織は蛋白質を消失することになり、病変組織そのものがなくなります。これを自家融解と言います。この現象は不思議なことに異常組織のみに作用するため、限度を超えて断食しなければ正常な組織にまでその影響を及ぼさないと言われています。これは断食中の血中アルブミン濃度や腎臓から排出される尿素量に証明を求めることができます。アルブミンは栄養蛋白ですが、断食を継続していると増える傾向にあります。尿素は蛋白質の代謝産物で、いわゆる老廃物ですが、断食を継続していると腎臓からの排泄量が低下します。 このように癌をも消し去るとの考え方は、各臓器が必要とする蛋白質を病変部から取り出すとの理論から構成されています。