胎児の脳の障害

胎児の成長は、母体が摂取した食物を胎盤からの吸収によって行われています。十ヶ月程度でもともと0.数ミリぐらいの受精卵が赤ん坊という個体を形成するということは細胞分裂も非常に速いものとなります。問題となるのは胎盤から吸収される食物にトランス脂肪酸が多量に混入されていた場合です。胎児の場合、栄養の補給は母体が食べたもののみに限定されるため、そこには選択の余地がありません。非常に速いスピードで細胞分裂を繰り返しているわけですから、手足をはじめ、体を構成する器官はとても短い時間で作られていきます。しかし、脳に限っては妊娠当初から誕生に至っても、その発達は続いていきます。 近年の研究でオメガ3と呼ばれる必須脂肪酸が十分でなかったり、或いは脳においてこの成分がきちんと神経細胞の原料として代謝されていなかったりすると、注意欠陥多動性障害(ADHD)などを引き起こすのではないかと示唆されています。またある研究者の間では、脳における神経細胞の原料として利用するために、必須脂肪酸を変化させる酵素というものが存在していて、この酵素作用が阻害されることによって学習障害や集中力低下、注意散漫、多動といった脳の障害を引き起こすのではないかと指摘されています。 酵素作用の阻害を招く原因としてトランス脂肪酸が示唆されていますが、この成分はポテトフライやマーガリンなどに多く含有されている傾向にあります。こういった母体の誤った食事によって、ADHDや注意欠陥障害(ADD)などを引き起こす可能性があると指摘されているわけですが、このことはすなわち、胎児として存在するときから脳が危険に晒され続けていると言うことができます。