拳/コブシ[こぶし]

コブシの概要

コブシは農業に関わる出来事で古くから指標として用いられていた経緯があり、農村生活には非常に役立っていたとされています。オプケニやオマウクシニと呼ばれる名称はかつてのアイヌ語で使われていたもので、厄病を払う意味を持っていたそうです。漢方の領域において利用されるのは、コブシの蕾(つぼみ)で、これを陰干し後、乾燥させ、水を用いて飲用されていました。コブシの別名では、「ヤマアララギ」、「タネマキザクラ」、「コブシハジカミ」、「タウチザクラ」などと呼ばれており、同じ仲間では、マグノリアと呼ばれる西洋ハーブもあります。コブシは日本各地の山野において見られる植物で、成長すると凡そ十メートルの高さに達する落葉高木となります。開花時期は三月から四月にかけてで、この時期、芳香を有する花を枝先につけます。葉よりも先に花をつけ、その色は白色をしています。秋が訪れると、白っぽい糸を引いて種子が下側に垂れます。袋果が集まって構成される果実は、なんとも言えない形状をしています。拳に含有される成分では、ネオリグナン、リグナン、そしてコクラウリンと呼ばれるアルカロイド類などがあり、精油成分では、シネオール、α-ピネン、シトラールといったものがあります。

コブシ/薬草で期待される効能・効果

消炎・鎮痛・鎮静・発汗・抗菌・筋弛緩作用など。一般に鼻づまりや蓄膿症(ちくのうしょう)、慢性鼻炎、そして風邪やそれに伴う頭痛に対してその改善目的で使われています。利用する際は、同じ蕾でも開花直前のものが最適とされていて、これを乾燥させ、水を用いて煎じ、飲用されています。