クサスギカズラの概要
クサスギカズラはユリ科に分類されていて、つる性の多年草となります。主に海岸などの砂地において見られる植物であり、薬用以外に食用にも利用されています。同じ仲間ではアスパラガスと言われる野菜類もあり、クサスギカズラと同属に分類されています。もともと海岸周辺に生息する植物には、或る性質を有しています。例えば、根を深く這っていたり、厚い葉にツヤが見られたりします。根を深くはるのは、水分や栄養を得るためであって、海岸では根を深くはらないとこれらの成分が吸収できないからです。また、厚い葉に光沢が見られるのは、太陽の光や潮風、そして乾燥などに耐性を持つためと考えられています。クサスギカズラも海岸に生息する植物であるため、それらの特性を有しています。見た目は葉のようになっている枝ですが、その葉は棘状(とげじょう)になっていて非常に細かくなっています。この枝は、葉状枝と呼ばれていますが、字の通り、見た目も葉に似ています。しかも、その葉が杉にもよく似ている事に由来してクサスギカズラと言われるようになったとされています。小花を夏が訪れる頃に開花させ、その小花の後ろ側に実を実らせます。その実は白色をしています。利用されるのは根部分で、肥大化したものを薬用に使います。また、クサスギカズラは漢方の領域においても使われており、天門冬(てんもんとう)と呼ばれる生薬名を有しています。痰の排出されない咳や喘息及び気管支拡張症などで生じる咳に対して、配合され、処方されています。一般には、去痰作用や鎮咳作用があるとされていて、水を用いて煎じたものが飲用されています。草杉蔓に含有される成分では、デンプンやブドウ糖をはじめ、β-シトステロールやアスパラギンなどがあります。その他、砂糖漬けにした天門冬も食物として摂取されています。尚、神農本草経などの古書には、草杉蔓が薬用として用いられていたことが記録されており、古くから利用されていたことが伺えます。
クサスギカズラ/薬草で期待される効能・効果
去痰作用、鎮咳作用など。漢方においては、清肺湯が喘息などに伴う咳に使われており、滋陰降火湯(じいんこうかとう)は、痰の排出されない咳に対して利用されています。尚、研究では、インターフェロン誘起の働きが、熱水を用いて抽出したエキスに示されたことが報告されています。