味覚を補助する匂い

匂いのある食品は鼻粘膜にその分子が届きますが、この鼻粘膜は匂いを感知する器官です。舌にも味を感知する器官がありますが、両者の位置は非常に近接しています。匂いに対して数百存在する感知器があると考えられていますが、この数は他の動物のそれに比較すると非常に少なくなっています。味への感知器は匂いのそれに比較すると更に少なく、その数は六タイプとされます。いわゆる甘味、塩味、辛味、旨味、酸味、苦味です。 食品には大抵匂いがありますが、例外的な物質もあります。こちらは不揮発性の砂糖や塩などで、精製を行った化学物質となります。それでも人工的に作られていない天然物には匂いがあると言われています。仮に人間が匂いを感じ取れなかったとしたらどうなるでしょう。恐らく味覚そのものの構成が現状より更に単純化され、食を楽しむなどとは程遠くなっていたかも知れません。 人間は火をつかって調理することで脳の進化を遂げた変わりに嗅覚の鋭さを失ったと考えられていますが、その一方で、劣勢の味覚の不十分さをサポートしているとも言われています。息を止めて食事をした時に、食べたものがそっけない味に感じられるのは、嗅覚がいかに味覚を補っているのかを示していることと思われます。