スーパーオキシドアニオン・NADPHオキシダーゼ

病原体が体の中に侵入すると食細胞に発見され、その細胞の中に吸収される訳ですが、その際、菌は分解されることになります。食細胞は優れた酵素活性を有しており、吸収されると次亜鉛素酸や過酸化水素などによって壊されてしまいます。リソソームは殺菌成分を閉じ込めている構造のことですが、マクロファージは細胞質にこれを含有しています。この構造は食細胞を自爆から守るために存在しており、強力な殺菌成分から自分を保護しています。また吸収された異物はこの構造に触れることによって消化され、加水分解酵素によって分解されます。 食細胞はスーパーオキシドアニオンと呼ばれる優れた酵素活性を有しますが、この物質は過酸化水素などの材料となるものです。当該物質はNADPHオキシダーゼと呼ばれる酵素によって生成されており、複数のパーツに分けて保存されています。場所は細胞質や細胞膜などで、これは混合させてしまわないようにするためです。食細胞によって異物が吸収されると、まず細胞質からパーツが細胞膜へ移動し、そこでNADPHオキシダーゼが再構築されて、スーパーオキシドアニオンが形成されます。 健全であればこういったメカニズムが正常に作用しますが、慢性肉芽腫症と呼ばれる先天性免疫不全を患っていると食細胞による分解が正常に行われません。これはNADPHオキシダーゼ(酸化酵素)をきちんと作る事ができないためで、結果として重症感染症を招きやすくなります。