食道の構造と働き~二層筋肉・蠕動運動・狭窄部~

食べ物は横になって口の中に入れても、食道を通過する最中に詰まることはありません。食道は食べ物を通す道であり、消化を行わない消化器です。一般に食事の際には座敷に座ったり椅子に腰をかけて食べるものです。当然引力によって食べ物は下に落ちるため、胃へは円滑に到達します。ところが、この引力にのみに頼って食物が胃へ届くわけでは有りません。これは食道を通過するためで、その壁は外膜、縦走する筋肉層、輪状の筋肉層、粘膜と外側から作られています。つまり筋肉の作用によって、食道を通過する食物はその後部の筋肉の収縮によって胃側へ押し流されています。このことは例え逆立ちしていても胃へ届くことを意味します。 消化管には蠕動運動があり、虫が這うような動きをします。この運動によって、体がどんな位置や角度にあろうと胃へ送られるようになっています。食道は数センチの太さに二十数センチ程度の長さで構成されており、喉と胃を結合させています。この管は気管後部を胸周辺まで喉から伸びており、通常は細く縮小しています。食物が通る際にはその大きさまで拡大されます。 狭窄部はよく食べ物が詰まってしまう部分ですが、これは第一から第三の狭窄位置に分けられます。一から順番に、甲状軟骨・輪状軟骨部、大動脈・気管分岐部、横隔膜貫通部となります。尚、横隔膜を通過する食道の穴を食道裂孔と言い、横隔膜を食道は貫通して胃に結合されています。