猪の子槌/イノコズチ[いのこずち]

イノコズチの概要

針状の三個の苞に覆われたイノコズチの果実は、下側に向いて垂れ下がります。苞は、先端が尖って鋭くなっているのが特徴で、触れると体に損傷を与えます。ひげ状に生えた根はまばらで、茎は節部が高くなっていて、その形状は方形をしています。また、枝を対生に節から発生させます。枝先には、控えめな穂状花序の花をつかせます。葉は、先端が尖った楕円形をしていて、対生になっており、表面には毛がまばらに見られます。ヒユ科に分類されるイノコズチは、多年生草本となります。日陰猪の子槌(ひかげいのこずち)は、イノコズチの近縁種であり、葉の毛は少なく、その厚さも薄くなっています。質の良いイノコズチは、川牛膝と呼ばれる中国産のもので、日本では、根の太い日向猪の子槌(ひなたいのこずち)の中から選抜して栽培されています。十一月が訪れる頃にイノコズチの採取が行われますが、その際、地上部が枯れ始めたのを確認します。掘り出したものから、茎及びひげ根を取り除き、水を用いて洗浄した後、天日干しで乾燥させます。猪の子槌は、日本各地において日差しのあたる山野などに見られる植物です。

イノコズチ/薬草で期待される効能・効果

利尿・浄血・通経作用など。また、産前及び産後の様々な症状にも利用されています。利用する部位は根となり、水を用いて煎じ、これを飲用します。また、腫れた乳房には、生の葉汁や煎じたものを塗布及び湿布したりして利用します。