屠蘇/トソ[とそ]

トソの概要

古くは、唐から来朝した博士蘇命が嵯峨天皇に屠蘇白散と呼ばれる薬を献上したとされます。これを神酒に浸したことが最初のトソの利用と言われており、元旦から三日目まで天皇が行ったとされています。しかしこれは、千年以上昔の話で、その真偽は分かりません。現在、屠蘇酒(とそしゅ)は正月に多く利用されています。江戸時代が訪れる頃には、庶民の間でも屠蘇は普及していたと言われています。もともと中国の医者であったとされる華佗(かだ)が屠蘇を作り出したと言い伝えられています。トソの名称は鬼気を屠絶、人の魂を蘇生と言われる言葉に由来しているものとされます。これは、長寿延命を望み、邪気や病を退けるという意味になるそうです。主な処方は、延寿屠蘇散で、これは陳皮(ちんぴ)、防風(ぼうふう)、桔梗(ききょう)、百朮(びゃくじゅつ)、山椒(さんしょう)、桂皮(けいひ)から構成され、いずれも薬草に該当します。屠蘇酒と呼ばれるものは、これらの薬草を浸したものとなります。

トソ/薬草で期待される効能・効果

陳皮は、鎮咳・鎮嘔・健胃作用があるとされていて、ミカンの皮部を用いたものとなります。防風は、解毒作用や解熱作用があるとされていて、中国産のボウフウの根を利用したものとなります。桔梗は、去痰・鎮咳・排膿作用があるとされていて、キキョウの根を用いたものとなります。百朮は、健胃や利尿に用いられ、オケラの根部を用いたものです。山椒は、健胃・駆虫作用があるとされていて、サンショウの果皮を用いたものとなります。桂皮は、健胃・解熱・発汗作用があるとされていて、ニッケイの樹皮部を用いたものとなります。