ブロイラーとバンコマイシン耐性腸球菌
食肉専用鶏のことをブロイラーと言います。この鶏には抗生物質が投与されていますが、通常、肉に残ることはありません。国産鶏はこのブロイラーであり、市場に出回っている鶏はほとんどこの食肉専用鶏となります。しかし、VREと略されるバンコマイシン耐性腸球菌が世界中で検出されており、問題となっています。これは、バンコマイシンと呼ばれる抗生物質を投与し続けた結果、これに耐性を持ったために発生したもので、あらゆる抗生物質に効果が認められないというものです。つまり、予防目的で投与した抗生物質に耐性を得た菌が発生し、これを抑えるため他の抗生物質を用いたものの、更にその抗生物質に対する耐性を持った菌が現れ、悪循環に陥ったということです。これを繰り返すことで、どんな抗生物質にも有効性が認められなくなるという最悪の事態を招いたわけです。ただ、バンコマイシン耐性腸球菌は熱を加えることで消滅します。一般には一分間、70度の熱を加えた場合、死滅すると言われています。このため、鶏肉を摂取するときは、その真ん中まで熱が十分届くように調理すれば、危険性はないと考えられています。
JASの規格のもとで飼育した場合、ことさら抗生物質を必要としないと言われています。まず、約半分、日本在来種の血を引いていて、これを証明できる場合。八十日以上、ふ化から続けて飼育している場合。平飼いをふ化から二十八日目以降に行っている場合。つまり、鶏の赴くまま動作できる範囲が地面や床といった環境で、且つこれを二十八日目以降に行っているケースです。そして、これに合わせて10羽以内の鶏を一平方メートルで飼育している場合がJASの規格に当てはまります。