糖尿病網膜症と神経障害

糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)がある場合、運動などによって血圧が上昇することで、網膜の血管が負荷に耐え切れず、眼底出血・硝子体出血などを引き起こします。軽い単純網膜症なら運動することに問題はありませんが、点状出血が移動したり、黄斑浮腫が出たりする重度のケースや前増殖網膜症の場合は、血圧に異常を来たさない程度の軽い運動が望まれます。また、呼吸を止めて力んだり、頭を下にしたりする運動も血圧に悪い影響を与えますので注意が必要です。増殖網膜症のケースは、普通に生活する分において制限を要しませんが、積極的な運動は控えたほうがいいでしょう。網膜症の悪化が停止すれば、運動の再開も望まれます。これらは、眼科や担当医師と十分に相談した上で決めましょう。その他、低血糖による眼底出血を引き起こすことがありますので、特に運動中の血糖値には注意が必要です。 糖尿病による神経障害がある場合、知覚の低下により、足などの傷に気づかず、そのままになるケースがあります。このような壊疽は、日頃から手入れをする癖を身につけていますと、未然に予防することができます。また、自律神経障害によって、心臓の作用を適度にコントロールできないことが原因で、不整脈や心不全を引き起こしたりします。そして、運動をすると、急に血糖値が低下し、自覚症状も出現せず、突然、意識障害を引き起こすこともありますので、注意が必要です。自律神経が侵されている場合、軽度なら軽い運動を行うべきですが、そうでない場合は、脈拍や血圧から判断するよりも、ご自身で少しでもきついと感じたなら、運動を控えるべきでしょう。