発熱~生体の防衛反応である自然治癒力~
人間の体の防衛反応として知られる発熱ですが、これは風邪などで見られる自然治癒力のことです。いわゆる白血球がそれにあたり、体内へ入り込んできたウイルスに対して攻撃します。病原体と白血球がぶつかって戦うために、熱の上昇が見られます。このため一般には熱を下げるために解熱剤を使うと、人間の持つ本来の自然治癒の働きを阻害することになると考えられています。但し、昏睡状態を招くような中枢神経損傷の可能性がある場合は除きます。ただ、状況によっては熱などの症状を抑えなければならないのも現代社会の慣わしで、例えば小児の高熱からくる懸念や仕事をしている大人などです。理由は人それぞれあることと思いますが、解熱剤などの利用も状況によっては仕方のないことと考えられます。
発熱のメカニズムは加齢に伴って反応が鈍くなると言われています。これは細胞活性の弱体化によるもので、発熱中枢の反応が低下するからです。高齢者ではこの仕組みがうまく機能しないことがあるため、インフルエンザにかかっていても自身で認識できないケースもあるようです。つまり、体の調子が何となくおかしいと感じていても、熱の上昇が認められないため、自己判断でたいしたことはないと思われがちです。こういった自己判断は、やはり体温が病気を見極める上で、重要な判断材料の一つになっていることを意味しています。また発熱は逆に言えば、体が健全で且つ元気であることの証と言い換えることができます。