司令塔となる脳の構造

脳が重くなるにつれて知能も高くなると考えられていますが、現代人とネアンデルタール人とでは現代人の方が軽くなっています。つまり、脳の重さが必ずそれに比例して知能も高くなるという法則が当てはまらないことを意味します。これは神経網の発達に違いがあるためといわれており、特にネアンデルタール人の脳では前頭連合野で現代人に劣っていると考えられています。前頭連合野は情動や創造性を支配するところで、ネアンデルタール人はこの部分が発達していませんでした。また、マッコウクジラの脳の重さは現代人の数倍に及びますが、それでも人間と比較すると知能は劣っています。このことは即ち、脳が重いからといって知能が必ず高くなるとは限らないことを証明しています。 脳には脳幹と脳梁(のうりょう)などがあり、また小脳、中脳、大脳、延髄、橋といったもので構成されています。脳幹は中脳、延髄、橋を総称したもので、脳梁は左脳と右脳を統合する神経線維の束を指しています。左脳と右脳は大脳を構成しており、脳梁によってこの分割された半球をそれぞれ繋げて、情報をまとめています。また、左脳が身体の右側の感覚や運動を支配し、右脳がこれとは反対に身体の左側の感覚や運動を支配しています。神経細胞の集合で構成されている大脳皮質は、その働きも左脳と右脳で異なります。 内部には脳室が四つあります。くも膜下腔と共に脳脊髄液で支えられています。この液は脳室壁に存在する腺から分泌されるもので、常時作り出されています。脳脊髄液は脳圧をコントロールしており、一定値に保たれています。つまり、脳内に含まれる血液が減少して内圧が下がれば、それを補うため、脳脊髄液は増加します。