骨粗鬆症とカルシウム

骨の形成には、単に原料をサポートするのみでは正常な働きを生みません。健全な骨を育成するためには、異常な脱灰を招く要因を払拭し、カルシウムにのみ限定されず、他のミネラルであるマグネシウムやマンガン、ホウ素、珪素(けいそ)、亜鉛などをバランスよく摂取し、ビタミンB群であるB6、B12、葉酸やビタミンC、ビタミンDなどを適切に摂ることが大切になってきます。 骨にカルシウムを適度に沈着させようとカルシウムのみ多く摂取しても、閉経後の女性ではそのほとんどが血中に充満するばかりです。その状態が続くと、次第に血管壁へも沈着するようになります。しかも血管を閉塞させてしまったり、筋肉の組織などに溜まってしまうことから、筋肉を収縮させたり緩めたりする働きにも支障を来たします。このことが心疾患の危険性を非常に高くするという研究結果も報告されています。また、骨粗鬆症は脱灰によってその発症の危険性を高めますが、閉経後の女性ではエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの分泌が減少するためです。副甲状腺ホルモンの働きはこのエストロゲンによって抑えられているため、以前に比較して更に脱灰が進み、カルシウムが血中で溢れ返ってしまいます。 問題なのはカルシウムさえ摂取していれば骨が健全に維持されるという誤解とも言うべき考え方で、つまり、どういった条件がそろっていれば適切に作用するのか、それを実行させるにはどういった方法で、食事を摂り栄養を補給したらいいのかと言うことです。骨に関して言えば、カルシウムに目がいきがちですが、単にそれだけを摂取しても、正常に機能するとは言えません。それどころか、カルシウムが血管壁に沈着して、ひいては心臓病を引き起こすなど、身体へ与える害悪を考慮すべきと言えます。