睡眠時間とメラトニン
ある調査報告では、一日平均七時間の睡眠をとったところ、寿命が長くなったとするデータがあります。これは中年以降の日本人男女を対象にしたもので、睡眠時間のほか、運動量やタバコ、アルコールなどを十年間調査した結果のものだそうです。いくつかのグループに分けて調べたとのことですが、この中で一日の睡眠時間が七時間だったものが一番長寿であったとされます。
人間は、太陽が昇ると起床し、沈むと眠りに入るものです。通常、これが人間の生活リズムであり、夜間に至ると、ホルモンであるメラトニンという物質が分泌されて、眠りを誘発します。眠ると今度は大量の同化ホルモンである成長ホルモンが作られます。この物質は、損傷した部分を治したり、新陳代謝を亢進させる働きがあります。つまり、夜間は細胞再生の時間であり、十分に寝ることができないと、体は損傷した部分を修復できず、更には新陳代謝もままならず老化現象を早めることにつながります。また、子供の成長にもこのホルモンは関与しているため、寝ている間に身長が伸びるのは、こういった理由があるためです。
人間は歳を重ねるに伴って、睡眠不足になりがちです。これはメラトニンの分泌量が低下してしまうためです。ところがこのホルモンは適度な運動や太陽光線にあたることで分泌亢進されると言われているため、過度な紫外線の照射を避ければ、ある程度分泌量を維持することが可能です。尚、近年メラトニンに睡眠誘発の作用だけでなく、癌を抑制したり、免疫力亢進の働きもあると考えられるようになっています。このことは夜間に寝ることが非常に大切であることを意味しています。