本能中枢と脳の進化

とかく、食べたり飲んだりする行為は低俗或いは下品、原始的な欲求として解釈されやすい傾向にありますが、実際にそうなのでしょうか。確かに暴飲暴食なら多くの問題を引き起こすことも考えられますが、通常の食事なら匂いによって脳が活性化されます。もともと人間の知恵は考えることに基づくものであり、食による満足感や芳香による刺激は、その思考や抑制といった理性と相互に影響しながら脳内の神経ネットワークを保ち、ひいてはその新生に一役買っているとも言われています。 人間の脳の進化は頭の奥から始まったと考えられています。つまり、最も古い本能的な脳が刺激を受けることによって、それに適応するため新たな脳が作られてきたと考えられています。このことは古い脳に対する刺激がなくなると、それを超える発達は期待できなくなるとも考えられます。 食欲は本能の一つであり、食後の満足感は人間の原始的な一番古い中枢を刺激します。対して思考は大脳皮質に刺激を与えるもので、一番新しい脳の進化へつながると考えられています。原始的な脳が刺激され、考えることで大脳皮質が刺激されて、更なる進化が期待できるというものです。