増殖因子の過剰反応から細胞外マトリックスが蓄積する

細胞を除いて、生体を作っている固体物質をまとめて細胞外マトリックスと呼んでいます。線維などが該当し、あらゆるタイプの細胞から放出されます。主に充填剤としての働きを持っており、細胞同士の隙間を埋めています。臓器などもその形状がこれによって維持されています。硬組織で形成される骨や歯なども細胞外マトリックスに該当します。 細胞障害が持続的に生じると、通常なら適切なところで増殖因子の作用が抑えられるものが暴走することがあります。つまり、線維芽細胞が手に追えない状態になり、細胞外マトリックスを過剰に蓄積してしまいます。いわゆる線維化とはこういった症状を指しており、特に臓器でこういった現象を招くと、高度な機能不全を引き起こすことになります。臓器はもともと柔らかくスムーズに働くものですが、コラーゲンなどで形成される細胞外マトリックスが蓄積すると硬くなってしまいます。よく知られているものでは、肺線維症や肝硬変などが該当します。 通常の創傷なら容易に自然治癒していきますが、上記のような理由によって臓器不全を招くと移植などの手段に移行しなければならなくなります。