中性脂肪/トリグリセライド
人間の体の中にある血液は、体重の一割以下といわれています。血液には血清と言われる人間の体液成分と、血小板、そして血球である赤血球や白血球などが含まれています。血清の九割近くは水分からなり、残りがタンパク質や糖質、脂質、ミネラル類、ビタミン類、酵素、ホルモンといったものになります。このうち血清中に存在する脂質には、トリグリセライドと呼ばれる中性脂肪(ちゅうせいしぼう)、コレステロール、遊離脂肪酸、リン脂質、そしてビタミンAやビタミンE、ビタミンDといった脂溶性ビタミン類があります。中性脂肪は、貯蔵されるエネルギー源のことで、肝臓及び脂肪細胞などに蓄積されて行きます。コレステロールは、肝臓で精製される胆汁酸や副腎皮質ホルモンと言われるステロイドホルモンの原材料となるもので、そのほとんどが肝臓において生成され、人間の細胞組織の細胞膜を構成する成分でもあります。遊離脂肪酸は、直接体内で利用されるエネルギー源のことを言います。リン脂質は、細胞膜における構成成分でありながら、水溶性物質を水に馴染ませる作用があると言われています。通常、心筋は遊離脂肪酸をエネルギー源としていて、脳はブドウ糖をエネルギー源としています。人間の体は長期間絶食するとまず血中に存在する糖質がエネルギー源となります。その糖質が不足すると今度は、脂肪細胞に存在する中性脂肪が分解されて遊離脂肪酸へと転換されます。これが血中に流れ出して、エネルギー源として用いられることになります。