運悪く買ってしまった固い牛肉でも、柔らかく美味しくする方法はある

激安の牛肉なら食べるまでもなく大体の食感や味も予想がつくし、ラバーのような食感でも諦めがつく。もちろん、固さは部位にもよる。しかし中途半端な価格で悩んだことはないだろうか。見た目に霜降りで美味しそうな顔をした牛肉だ。しかも中身の肉が綺麗に折りたためられ、パッケージまでお洒落ときたら素人目にはもう分からないだろう。こういった状況で固い肉を購入してしまった場合、選択肢は今のところ二つ考えられる。一つは食べて固さに気づいて後悔し、今後固そうな肉を買わないように工夫する。もう一つは、次から固そうな肉を購入した場合、柔らかい肉に変えてしまえば良いというものだ。ということで早速その方法をご紹介しよう。 まず肉を柔らかくするコツとしてよく知られているのは、肉たたきで叩いてしまう方法だ。肉たたきは、ハンマー形状をしていて肉と接触させる部分にデコボコとした軽い棘を持っている。その重さで肉へ叩きつけ、棘の部分を肉組織の奥深くへ潜り込ませるというわけだ。こうすることで肉の繊維はつぶれ、肉そのものが柔らかくなる。しかしこれでは「固い牛肉」特有の筋がなかなか切れない。そこでもう一つの方法が、肉に穴を開ける調理器具だ。ミートテンダライザーやジャカードとも呼ばれる筋切り器を使う。長い刃が出ているため、ハンマーより奥深く肉の組織へ入り込むのが特徴だ。こうして肉へ切り込みや穴をあけることによって繊維が切れ、肉が柔らかくなる上に調味料も浸透しやすくなる。しかしこれらにも欠点があったりする。骨付きの肉や冷凍ものでは使えない。しかも肉に穴を開けてしまうわけなので、肉汁が失われやすい。 そこで、牛肉に砂糖を振りかけ、しばらく置いてから牛肉を焼くというシンプルな方法もある。砂糖はJAS法で賞味期限を表示しなくていい食品で、長期保存が可能だ。その原料といえば、サトウキビや甜菜(てんさい)。そんな砂糖だが、主成分であるショ糖にタンパク質の凝固温度を上昇させる性質がある。タンパク質といえば牛肉も代表食材の一つとなるが、砂糖を加えることによってコラーゲン(タンパク質の仲間)などと互いに働きかけ、影響し合った結果、水分の蒸発を抑えるという性質がある。これが肉を柔らかくするメカニズムだ。つまり、肉に砂糖を軽く振り掛ければ、タンパク質の凝固が阻害され、そして水分蒸発が抑制され、結果として肉が柔らかくなるというわけだ。 更に手間が増えていいのなら、他にも肉を柔らかくするためにパイナップルなどを使う方法がある。こちらはプロテアーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素の作用によって肉を柔らかくさせるため、砂糖によるメカニズムとは異なる。プロテアーゼを含む食品では、キウイフルーツ→アクチニジン、パパイヤ→パパイン、イチジク→フィシン、生姜→ショウガプロテアーゼ、パイナップル→プロメライン、舞茸→マイタケプロテアーゼ、納豆→ナットウキナーゼ、といったものが知られており、もちろんこれらをパイナップルの代用として使うことも可能だ。その場合、これら食品の搾り汁に浸すと良いだろう。ただし、納豆の場合は好みもあるので工夫が必要かも知れない。