人参の皮と思っている部分に含まれるカロテンと勘違い

カロテンとは体内でビタミンAに変化する成分であるが、これに肺がんを予防する働きがあるとするレポートが発表されたことで注目されている。人参に含まれるカロテン量は、他の野菜に比べてずば抜けて多く、一日に必要とされる量は人参一本にも満たない。それほどカロテン含有量に優れている。 そのカロテンが最も多く含まれているのは、人参の外側になる。いわゆる「皮」と思われている部分であるが、実は人参の皮はものすごく薄く、内鞘細胞と言われている部分である。つまり、一般に「皮」と解釈されている部分は皮ではないのである。内鞘細胞は構造上薄い膜で形成されており、普通に洗えば泥などと一緒に流れ落ちてしまうことになる。通常、店頭に並んだ人参に泥の付着はなく、既に洗われたものであって皮はない。 レストランでは見た目を良くするために人参にバターなどを加え、グラッセに用いられる。その際、皮もはぎ取られてしまうが、家庭での調理ではそれほど気にすることはない。分厚く外側を削るということは食べる量が減少し、生ゴミが増加するということでもある。それはつまり、われわれが人参の皮と思っている部分の認識の違いから、そういう行為が生まれるのかも知れない。
スポンサーリンク