断食によるアルブミンの増加と悪影響
通常、食べ物を摂取しないと、栄養失調になります。確かにその通りなのですが、飽食の現代では逆に食べすぎは栄養失調になるとも言われています。例えば、栄養蛋白として知られているアルブミンなどは、断食によって減少するどころか増えてくる場合もあります。この物質は人間の体を構成している大部分の蛋白質ですが、肝臓で合成されています。断食によって栄養状態が良くなるのは矛盾していますが、これは肝臓や骨髄の代謝が亢進するためだと考えられています。
GOTやGPTなどの数値は断食最中に一過性の上昇傾向を示すことがあります。肝障害である肝臓癌や肝硬変、肝炎といった疾患がある際に血中内で増加する酵素の一種ですが、この数値の上昇は、病的な組織が壊されていくことによって引き起こされると考えられています。これに対し、γ-GTPは断食を継続することで確実に落ちていきます。この数値は、多量の飲酒の際に用いられる目印です。
断食は効果のある健康法として知られていますが、条件によっては悪影響を及ぼすことがあります。例えば、肝臓癌などによって極端な衰弱を招いている人や末期癌の人、授乳中、盲腸など緊急に手術を要する人などが該当します。また、重篤な出血を認める胃潰瘍や十二指腸潰瘍を患っている人、低体重の人、痴呆症の人、治療を理解できない精神病の人、B型肝炎やC型肝炎で活動性のもの、薬の投与を受けている心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患を患っている方なども同様です。