肝臓細胞~生体肝移植

血中に存在する物質を分解するのが肝臓の主用な働きです。細胞が活用しやすい状態に栄養分を変化させたり、有毒性の物質を分解したり取り除いたりします。またグリーコーゲンと呼ばれるエネルギー源を蓄積したりもします。肝臓の再生力は非常にすぐれていますが、これは臓器の中で一番先に毒物の分解や破壊を行わなければならないからです。食物を摂取した場合、その中に含有される有害性の物質は、肝臓を介して全身を循環します。 肝臓は大半を切断しても回復する臓器です。動物実験ではおよそ一週間程度で前の重さに戻るという報告があります。生体肝移植が可能な理由は、この肝臓の高度な再生能力のためであり、人間ではおよそ三十日程度で普通の人と同じぐらいの重さに回復するものと考えられています。 幹細胞は肝臓にも見られますが、その回復の多くは予め分化された肝臓細胞によるものです。つまり肝実質細胞が増えることによって修復されます。これに対し、ほとんどの臓器は幹細胞の持つ分化機能に頼っています。