疾患別の歩行
ウォーキングでは糖尿病や肥満、心臓病、腰痛、肩凝り、高血圧、通風など、疾患別の適したやりかたがあります。糖尿病では、血中に存在する糖分を燃焼させ、それを取り除くことが重要となります。一般に、二十分以上の歩行を毎日継続して行い、速度は少し遅めが良いと言われています。この場合、低血糖が空腹時に発生する懸念が残るため、食物を摂取してから凡そ一時間経過した後に歩くのが良いとされています。糖尿病に歩行が有用とされるのは、まず、膵臓の働きが向上し、当該臓器からのインスリン分泌量が増加するためです。また、インスリンが血液内に十分分泌されていなくても、筋肉が歩くことによって利用されるため、血中の糖分が筋肉内で上手に消費されます。
肥満の方は逆に早歩きが推奨されます。時間も長めを要しますが、回数は一日おきぐらいが最適です。通常、脂肪がエネルギー源として利用されるには十五分以上かかります。それまでの間は、体の中に残っている糖分が使われます。このため、三十分ぐらい歩かなければ、脂肪の燃焼につながりません。
心臓の疾患が認められる場合は、負荷をあまり心臓へかけないように気をつける必要があります。歩行速度も遅いぐらいがちょうどいいと言われています。基本的には慎重を要するため、緩やかに開始します。腰痛が認められる場合、歩行の際に動作を大きくします。例えば、膝を高めに上げたり、手を前後に大きく振るといった具合です。これは肩凝りなどを訴える人も同様で、患部の血流を改善させる効果があります。
歩行は下半身の筋肉を鍛えますが、その際、毛細血管も増加します。すると上半身より下半身の方に血液が蓄えられるため、上半身では血圧が低くなってくれます。更に降圧物質の放出が歩行によって促されるため、こちらも血圧を下げるのに一役買います。降圧物質にはプロスタグランディンEやドーパミンなどがあります。ウォーキングが高血圧に良いというのは、こういった理由からきています。