体温中枢~プロスタグランジンE2~

体の防衛作用はウイルス感染などから活性化されます。これは免疫細胞系によるもので、インターロイキンの幾つかのタイプが分泌されますが、いずれも緊急の際に機能する種類です。身体がウイルスに感染すると発熱を生じますが、体温そのものの調節は体温中枢と呼ばれる脳の器官で行われます。上記インターロイキンの幾つかのタイプが脳血管で働きかけると、その血管よりプロスタグランジン合成酵素からプロスタグランジンE2が生成されます。この物質は発熱に関与している分子と考えられており、これが脳内部で広がっていきます。その際、体温中枢表層の細胞に見られる特別な蛋白質に結びつきます。すると体の体温を管理している神経回路が機能し、熱の上昇を引き起こすように指示します。 しかしサイトカインの体温コントロールは通常の状況においても行われており、ウイルス感染に限定されるものではありません。メカニズムは同様であり、その結果が運動神経系や交感神経系へと現れます。例えば、身体の振るえなどは運動神経系が刺激されたためで、発熱という形を作ります。また血管や脂肪の細胞へは交感神経系が対応しており、活性化されると血液量を調節して体温の上げ下げとして現れ、脂肪は熱を生じさせるためにエネルギー変換されます。 アスピリンはよく知られている解熱鎮痛薬の一つです。これはシクロオキシゲナーゼの作用を阻害することでプロスタグランジンE2の生成を抑制するものです。シクロオキシゲナーゼはプロスタグランジン生成のプロセスで働いている酵素です。