クローン病と潰瘍性大腸炎
点滴を長期間行った場合の腸内と健全のそれとを比較すると、前者では絨毛が損傷してその形状を崩します。腸は、体内へ入ってきた食物から栄養分となるものを選んで吸収する訳ですが、点滴を受けているとこの作業を失います。また、絨毛が損傷を受けると免疫機能にも支障をきたし、その働きが落ちてしまうと言われています。胃酸には、腸管免疫を補う働きがあるため、消化液である胃酸の分泌を促進させ、消化管運動を亢進させるためには、食事の際に良く噛んで食べることが重要となります。これは、胃酸に異物であるウイルスや細菌などを死滅させる働きがあるためです。
炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん)は、クローン病や潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)などの病気のことで、いわゆる難病に属しています。どちらも強い痛みを腹部に感じ、高度な下痢が認められます。ただ、前者の炎症は腸の全域に及び、後者のそれは大腸のみとなります。潰瘍性大腸炎ではある種の悪玉菌が原因とされているため、それを取り除くために通常、薬を用います。しかし、研究では特定の善玉菌が炎症性腸疾患で出現した症状を除去するのに有用であったとする報告例があります。安易に薬を用いると、腸内細菌叢に対してそのバランスを崩壊させてしまうことも心配されます。
尚、胃腸の運動を補うにはタウリンやマグネシウム、オメガ3、ビタミンB群といった栄養素を補給することも大切です。これらの栄養素は思考を高め、精神を落ち着かせるといった働きもあるため、脳にも腸にも有用な成分となります。