減塩食

浸透圧を上昇させる塩分ですが、血圧に関することではとかく減塩食(げんえんしょく)に注意が行きます。ある物質を溶解させた液体を濃度の高い方と低い方に分けると、その濃度を同一にするため、濃度の高い方へ低い方の液体が移動する現象を浸透圧と言います。両者を区切る部分には壁があり、この部分は人間で言えば細胞膜にあたります。この膜は細胞の外側と内側を仕切っている壁であり、健康であれば、ナトリウムが外側に多く存在し、内側に多くのカリウムが存在しています。両者は均衡を保つために、水分量をコントロールしています。ところが、過剰に細胞外となる血中においてナトリウムが存在すると、細胞膜を介して細胞内の水分がその外側に次々滲出していきます。すると、血液量が増加するため、心臓はより強く動作することになります。つまり、増加した分だけ心臓へ負荷がかかるため、血圧がより上昇するというわけです。このことは血管壁へ与える圧力も高くなることから、損傷を発生させやすくなります。延いては心臓や血管の障害を招くリスク要因も高まります。 とはいうものの、人間の体は過剰になったナトリウムを尿などの形で直ちに体外へ排出されるようになっています。そのため、少々多めにナトリウムを摂取したとしても、それが直ちに高血圧を招くわけではないと考えられています。また、アメリカの研究でも塩分を控えた食事が、心臓を保護することに直結しないのではないかと指摘する報告例が見られます。