言語機能の回復~ウェルニッケ・失語症~
言葉遣いがスラスラとしてよどみがなくても、その内容は支離滅裂で意味が良く分からない病気をウェルニッケ失語症と言います。その表現は単なる言葉の羅列であり、脳損傷に由来します。失語症そのものは書いたり読んだり、話したり聞くといった言語能力の一部を損なった病気であり、症状はこれらの働きのどれがどのぐらい喪失したかによって異なります。原因は脳血管障害やその炎症などで、よく知られているのが脳梗塞です。こういった疾患によって言語野である脳の言語機能を司る神経細胞が損傷することで失語症は引き起こされます。
大脳は二つに分類されていて、その働きは左右で異なります。しかし、脳の深部ではこれら両半球が結びついており、データのやり取りが実施されています。失語症は多くの場合、回復しませんが、それでも回復する症例があります。回復する場合、どういった仕組みで修復されているのかまだ明確にされてませんが、いくつか仮説も存在しています。しかし大別すると喪失した脳細胞そのものの復元か、それとも喪失した部分の働きを他の部分が担うということになります。
通常、脳の左半球に言語野は存在します。可能性で言えば、反対側の対称箇所における機能の活性化も考えられます。報告では失った領域の働きを他の領域が担い、その複数存在する他の領域が修復過程においてそれぞれ交代しながら働いていると予測した研究例もあるようです。