発色剤

加工や保存する際に食肉加工品は色調が変化しやすい傾向にあり、これと共に原材料となる肉の臭いや味も残存しやすくなっています。発色剤(はっしょくざい)を用いると味の醸成作用と共に保存性も上昇し、鮮明な色調になります。また水産物でも同様であり、褐色の変色を抑え、色調を鮮明にします。昔からヨーロッパなどでは保存するための加工法として肉には食塩を用いてきた経緯があります。特に岩塩を用いたものが普及していたとされ、風味や色調だけでなく保存性も高まると考えられていました。現在、これらの作用は硝酸塩という物質が岩塩に含有されているためと言われており、この物質が微生物の作用によって亜硝酸塩に変化するためと考えられています。発色剤はこの亜硝酸塩を用いたもので、保存性の向上、色調や味を高める以外にもボツリヌス菌を抑制する働きもあります。 種類では亜硝酸ナトリウムの他、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムといったものが知られています。これらはハムやベーコン、すじこやソーセージ、コンビーフなどに用いられますが、安全性が確立されているのは硝酸ナトリウムと硝酸カリウムで、臨時の処置として亜硝酸ナトリウムに関しては安全だと言われるに留まります。 尚、亜硝酸ナトリウムは炭酸ナトリウム若しくは水酸化ナトリウム溶液に酸化窒素ガスを取り込んだものです。その作用はミオグロビンやヘモグロビンに働きかけるためで、熱などを加えることによって色調の変化を起こしにくい赤色を呈します。また硝酸カリウムは硝酸ナトリウムと塩化カリウムを反応させたもので、無色或いは白色の結晶か粉末状をしています。こちらもミオグロビンやヘモグロビンといった血色素に働きかけるためで、その鮮明な赤色も熱を加えるなどして形成します。