テルペンとナリギン

柑橘類(かんきつるい)の外皮には、スチロール製の樹脂を溶かしてしまう成分が含有されています。発泡スチロールでは、特に強い変質を示す傾向にありますが、他の食器などでも同様の現象が起こります。かつて、スイーティーを食べた後にスチロール製の樹脂製品に触れて色が変わってしまったという珍事件が発生しましたが、これはスイーティーに含有されるテルペンと呼ばれる成分の仕業です。この成分は精油が中心であり、スイーティーの油胞内に入っていて、果皮を剥いだ際に破壊されて流出してきます。 このフルーツは海外から冬の間に輸入されており、品種はオブランコとなります。スイーティーそのものは商品名であり、グレープフルーツとブンタンの交配から誕生したものです。食味はさわやかで特有の苦味成分を持っておりますが、これはナリギンによるものです。ナリギンはグレープフルーツにも含有されているため、オブランコの苦味成分もそれを引き継いだと言えます。よくグレープフルーツを食べて唇を痛めることがありますが、これはあまり熟してないものを食べたため、ナリギンによって引き起こされたものです。 尚、スチロール樹脂を採用している製品では食器の他、トレーやリモコンなどがあげられます。これらはいずれもテルペンの溶剤の働きによって、変色を引き起こすことがあります。しかし、その原因物質は単なる精油成分であり、危険なものではありません。また、それぞれの柑橘類によって、どの程度の変色を引き起こすかは差の問題であって、柑橘類であればいずれもこういった現象を引き起こします。