肝細胞増殖因子/HGF・パラクリン

肝臓は他の臓器とは異なり前もって肝臓細胞に分化している細胞によって修復されます。これを担っているのがHGFと呼ばれている肝細胞増殖因子です。動物実験ではHGF遺伝子を壊した場合、肝細胞は修復されるどころか死んでいく事が報告されており、人間では胎児期において機能しているようです。 肝臓内部にある血管内皮細胞やマクロファージは当該HGFを作っており、これに近接する分化されている肝臓細胞に機能します。このため、肝臓に極端な負荷がかかる場合、例えば肝臓の一部が切除されたり肝炎などを招くと、HGFを形成する遺伝子が活性化します。 オートクリンは自ら作り出した刺激物質を自身で受け取り、これによって自らを活性させるメカニズムを指しています。これに対しパラクリンは刺激伝達を意味します。要するに刺激物質を生産している所とそれを活用する位置に距離があるということです。上記のように血管内皮細胞やマクロファージによってHGFが形成され、これが肝臓細胞へ働きかけるのもパラクリンのメカニズムによるものです。他にもホルモンなどがこの仕組みによって利用されています。例えば特定臓器で生成されたホルモンは血流にのって他の臓器で活用されます。