日持向上剤

数時間ないし数日程度の腐敗を防ぐ目的で使用されるもので保存性のあまり高くない食品が利用対象となります。古くから細菌増殖の抑制作用を期待して、砂糖、食塩、酢などが用いられてきた経緯があります。これらは生活の知恵として生まれたもので、酢漬けなどがよく知られています。多くは眼で確認できない大きさの微生物に起因する腐敗であり、その汚染を防ぐことで食中毒の発生も防止することが可能です。 日持向上剤(ひもちこうじょうざい)の効果の程度は、通常の保存料に比較すると低くなっています。これはもともと日持向上剤が生活の知恵として用いられてきたためですが、温度の低い場所で貯蔵することによってその効果を更に高めることが可能です。ただし、近年健康志向から糖分や塩分を控える食生活になりつつあるため、これが原因となって保存性も悪化しています。このため、現代でいう日持向上剤を用いることで、食物の保存性低下を抑制することができます。 種類としてはビタミンB1ラウリル硫酸塩と呼ばれるチアミンラウリル硫酸塩やグリシンといったビタミン及びアミノ酸、リゾチームなどの酵素、酢酸ナトリウムや氷酢酸といった有機酸類、お茶や紫蘇・わさびなどから抽出する香辛料、そして中鎖脂肪酸であるグリセリン脂肪酸エステルなどがあります。 氷酢酸はエタノールやアセトアルデヒドを酸化させて造られるもので、珍味や漬物などに用いられています。グリシンはアンモニア及びモノクロル酢酸を反応させたもので、甘みを持つのが特徴です。そうざいや魚肉の練り製品などに用いられています。リゾチームは卵白を使って製造するもので、カスタードクリームやナチュラルチーズなどに使われています。酢酸ナトリウムはエタノール及びアセトアルデヒドの酸化から生じる酢酸を中和させたもので、水産加工品やそうざいなどに用いられています。