骨の構造
建造物によく例えられる骨の構造ですが、鉄筋の役目をしているのが蛋白質であるコラーゲンです。この物質は珪素及びビタミンCなどの補助によって網目状を形成し、ここへセメントの役目をするミネラルが蓄積していきます。ミネラルにはカルシウムやマグネシウム、リンといったものがあり、これらが結晶となってコラーゲンの網目の中に埋め込まれる訳ですが、その際両者を接着する役目を担うのがムコ多糖類です。一般にはカルシウムが骨を形成しているように考えられがちですが、その内訳は全体のおよそ六割程度が結晶化されたミネラルで構成されています。また三割程度は蛋白質であるコラーゲンやムコ多糖類、そして水分が占めています。残りは、僅かな脂肪や結晶化されなかったミネラルなどで成立しています。
通常、カルシウムを除く物質は僅かであるため軽視されがちです。そして、それらの成分は体に取り入れなくても大丈夫だとも思い込まれる傾向にあります。上記の通り、カルシウムのみで骨が生成されている訳でもなく、重要ではないと安易に考えるのは正しくありません。骨を形成する原料となる物質には上に述べたように様々なものがあり、そのいずれが欠損しても骨は成立しません。頑丈で健全な骨を構成していく上では、どの栄養素や成分が欠落しても問題となります。
このような誤解が現代で広く普及しているため、骨粗鬆症で悩む方が増えているとも言われています。もちろんカルシウムが骨の形成上必要であることは言うまでもありませんが、一般的な考え方からやや離れて異なる観点から骨を考えてみることも大切です。