脊髄反射
生命を脅かすかも知れない痛みという刺激は、極力早期に避けなければなりませんが、通常の神経伝達では間に合いません。一般に、刺激が神経を伝わって行く速度はそれなりに速いと言われていますが、一旦刺激が脳に情報として渡され、それを危ないと脳が判定して、命令を下し、実際に該当箇所にその情報が届いて回避するという経過を踏むのではやはり遅いのです。そこで発動するのが脊髄反射と言われるもので、このプロセスでは大脳を経由しません。知覚神経の働きによって刺激が脊髄へ伝わり、そのまま脊髄を通過して運動神経に情報が渡されます。その結果、危険からの回避が可能となるわけですが、このプロセスでは大脳への情報伝達を省いていることになります。そして、危険を回避した後に、痛みなどを感じるわけですが、これは体性反射と言われているものです。
面白い反射では膝蓋腱反射と言うものがあります。これは脚を組むなどして足を浮かせ、膝の皿の下側に位置する腱を叩いた際に起こる反射です。膝から下の部分が軽く跳ね上がります。この腱は大腿四頭筋の腱です。また、伸長反射と言われるものもありますが、こちらは反動によって筋肉を伸ばした際に起こるもので、反対に脊髄反射から縮んでしまう現象です。
その他、内臓反射若しくは自律神経反射と言われる臓器に関係するものがあります。血管収縮や排尿、排便などがこれにあたります。瞳孔拡散は光によって瞳孔が縮小する現象です。