保存料

食品の腐敗は食中毒を招きますが、これを防ぐ目的で使われています。近年、食物に使われる塩分や糖分は少なくなってきている傾向にありますが、これは健康にこだわるために普及した志向によるものです。低塩化や低糖化はいずれも食物の保存性を低下させます。 日本で食中毒を引き起こす症例は外国に比較すると少ないですが、これは製造の過程や包装の際、保管上の衛生面、流通などで厳しく対策が行われているためです。しかし、食中毒の発生率はゼロではなく、化学物質や細菌などが主な原因となっています。中でも細菌由来の食中毒が非常に多く、これは細菌が増殖していく性質によるものです。昔から塩が野菜や魚に保存性を上昇させるために用いられてきましたが、他にもスパイスが肉などに、砂糖が果物などに用いられてきた経緯があります。第一に食品は安全で且つ衛生的でなければなりません。また腐敗させてもいけませんので、古くから上記のような保存方法が用いられてきたと言えます。 保存料(ほぞんりょう)の特徴としてはまず、食中毒を防ぐ効果があります。これは害を持つ細菌の増殖を抑制するためで、微生物の発育を阻害し、食品を腐敗から守ります。一般には少ない量でも保存性は高く、食べ物の風味にも影響を与えません。 保存料としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸といった有機酸やその塩類があります。これらは清涼飲料水やマーガリンなどで用いられています。ピロ亜硫酸ナトリウムや亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウム、次亜硫酸ナトリウムなどは無機塩類となります。ペクチン分解物やエゴノキ抽出物、ツヤプリシンなどは植物成分抽出物や分解物であり、通常の食品に用いられています。パラオキシ安息香酸プロピルやパラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ブチルは有機酸エステル類であり、トンカツソースや醤油などに用いられています。