ジベレリン/種なし葡萄

成長ホルモンの一種であるエチレンはリンゴなどの果物が作り出します。このホルモンは、植物性のものであり、果実の成熟を促します。キウイなどを早めに収穫した際、まだ硬くなっていますが、これをリンゴと一緒の容器にいれておくと、何もしなくても追熟が起こります。 成長ホルモンにはジベレリンというものもありますが、これも植物が生成する物質です。通常、植物の受精は花粉が雌しべの柱頭にくっついて起こります。その際、小房といった花の存在する器官が大きくなって、果実ができて中に種子が入っています。ジベレリンは種無し葡萄の生産に用いられているもので、ブドウが開花する前に使います。容器に花穂を入れて、水溶液にしたジベレリンを加えると、果実に種が発生しなくなります。ただ、そのままでは果実が大きくならないため、満開してから再度、この処理を行います。そうすることで果実は種を持たないまま大きくなっていきます。メリットとしては収穫量の増加と共に早期の収穫が見込めます。この生産技術が適用されているのは、国内ではデラウエアがほとんどですが、他にも巨峰やマスカット、ピオーネといった品種にも採用されています。 ジベレリンは植物成長調整剤、つまり農薬としても使われています。しかし、よくブドウの表面に白っぽい粉を見ることがありますが、これは農薬ではありません。果実そのものが自ら分泌しているロウ物質であり、人間の体内に入っても悪影響を及ぼしません。ロウ物質は、植物の水分蒸発を抑制したり、自然界からの刺激を防いで疾患を予防しているものであり、自分を保護しています。この果粉はブルームと呼ばれています。