機能性ペプチドとカゼイン

アミノ酸の種類は二十個で、これらは生物の蛋白質を構成している成分であり、その構造によって蛋白質の持つ性質が異なってきます。蛋白質は体内に入って胃腸で消化される際、消化酵素によってペプチドに分解されます。消化酵素には胃液のペプシンや膵液のトリプシンといったものが存在し、結果的にアミノ酸に分解されます。そしてこれが小腸壁から体内に取り込まれることになります。近年、牛乳に含有される蛋白質が体内に取り込まれて消化される際に発生するペプチド内に特定の生理活性を呈する機能性ペプチドに注目が集まっています。 ペプチドは、アミノ酸とアミノ酸が結びついたものを意味していて、その名称はアミノ酸の数によって異なります。オリゴペプチドは、十個程度のアミノ酸が結びついたものを指していて、ポリペプチドはこれより多く、100個程度の範囲のものを指します。そもそもアミノ酸はネックレスのように直鎖状に結びついたものを指していて、これが大きくなって更に数多く結びついたものが、いわゆる蛋白質です。換言すれば、蛋白質を形成している部品がペプチドと言うことになります。 血圧調節関係のものではアンジオテンシンⅡがあります。この成分には血圧を上昇させる働きがあります。アンジオテンシンⅡは、ACEと略される変換酵素によって生じますが、もともとはアンジオテンシンIです。Ⅰはペプチドであり、肝臓で作られたアンジオテンシノーゲンが血中で酵素であるレニンの作用を受けて生成されます。しかし、牛乳に含まれるカゼイン由来のペプチドの幾つかは、アンジオテンシンⅡが発生するのを阻害する働きがあります。これは変換酵素の作用を抑える働きがこの成分にあるためで、結果として血圧上昇を抑えます。CPPはカゼインホスホペプチドのことで、カゼインが消化される際に発生します。カゼインは乳たんぱく質であり、三つの種類が存在しています。このカゼインにはカルシウムの吸収を促す働きがあると言われています。