香辛料抽出物

大航海時代の航路やシルクロードの交易路などで知られているもので、古くから美味しさを引き立て、食欲を増進させる目的で使われてきました。かつての交易路の開発は香辛料の取引に欠かせないものでした。現在、衛生的に抽出した有効成分を使っていますが、もともと季節や産地などの条件で手に入れにくかったり、貯蔵した際に変質して風味を損なったりしていました。香辛料抽出物(こうしんりょうちゅうしゅつぶつ)は、安定した現在の加工品であり、衛生的で且つ便利に用いることができるようになっています。食品の価値を高め、食欲を亢進させる目的で、広く一般に使われています。また、健康にも有用であり、細菌増殖を抑制したり、酸化を防ぐ目的で利用されることもあります。 大別した場合、辛味と香味を目的に使われます。前者では山葵(ワサビ)やコショウ、唐辛子(トウガラシ)などが知られており、後者ではクローブやシナモン、オールスパイスなどがあります。これらはいずれもソースやドレッシング、ハムなどに用いられます。 香辛料の原料では上記のほか、ローレルやアニス、ローズマリー、ウイキョウ、マジョラム、ウコン、パプリカ、オレガノ、パセリ、カッシア、バジル、カラシナ、ニンニク、カルダモン、ナツメグ、キャラウェー、ディル、クミン、タラゴン、コリアンダー、タイム、サフラン、セロリー、サボリー、スターアニス、サルビア、生姜(しょうが)、山椒(さんしょう)、シナモン、紫蘇(しそ)といったものがあります。 香辛料抽出物はその原料が決められていて、そこから抽出や水蒸気蒸留によって作り出します。原料の対象となったものの果実や根茎、花穂、茎葉、種子、樹皮などを使います。安全性に関しては古くから用いられてきた天然香辛料由来の成分を用いているため、問題はないと考えられます。水蒸気蒸留によって取り出した香味成分の多くは粘りを見ませんが、抽出したものは強い粘りが認められます。いずれも利便性を高めるため、液状に希釈したり乳化させるなどして用います。こうした香辛料抽出物には酸化を防ぐ目的や日持向上剤として用いられるものもあります。