麺とリン酸塩
ポリスチレンで作られた入れ物からかつて環境ホルモンと推測される物質の流出が懸念されましたが、現在それが環境ホルモンと違うことが確認されています。また、熱湯をいれても溶出しなかったとの検証もなされており、その可能性は否定されています。こういったポリスチレン製の容器を使ったものではカップ麺がありますが、いわゆるインスタントラーメンに懸念を持つ人も見られます。というのは、かんすい由来のリン酸塩の大量摂取が注目されていたからです。かんすいそのものは何千年も昔から発色用に用いられてきた経緯を持っていますが、これは生の麺で小麦粉の色を淡黄色に発色させるために使われてきたものです。ただ、インスタントラーメンではかんすいを余り使わず、クチナシの実が使われているそうです。食感は増粘多糖類を使って引き出しており、中華麺に似せたようなものになっています。インスタントでかんすいが用いられないのは、生と違い油を用いて揚げるためで、ここにかんすいを多く使ってしまうと、麺が黒っぽく変色してしまいます。外観が生めんとかけ離れたものになってしまうため、油で揚げた麺にはかんすいがほとんど使われていません。
かんすい成分中にリン酸塩は含有されていますが、これが問題となるのはリンがカルシウムの吸収を阻害するためです。しかし、リンそのものは他の食品にも多く含まれています。これは小麦粉にも言えることで、例えかんすいをほとんど用いていないインスタントラーメンにも、小麦粉にもともと含有されていたリンが含まれています。統計から見ると、穀類だけでなく、鶏肉や魚などにもそこそこ含まれているため、麺類だけがずば抜けて多く含まれているわけではありません。また、含まれているからといって必ず健康に害悪を与えるものでもありません。