植物のくん蒸

果物が輸入された場合、まず植物検疫が行われます。そしてこの検査が終わると食品衛生法によって決められた検査を実施します。次に市場へ流通するわけですが、ここでも食品衛生監視員によって安全性が確認されます。この監視員は地方自地体によって構成されており、これらの過程を踏んでその安全性は厳格に確認されています。これはバナナなどの果物だけでなく、穀類や切り花、野菜、苗木、木材、球根などあらゆる植物が対象となっており、ある種の害虫及び疾患が見つかったケースでは、輸入した人間がそれを消毒するか、廃棄、積戻しなどの方法で処理することになります。 消毒する場合、密閉した場所で農薬をガス化させて殺虫する方法があります。これをくん蒸と言いますが、リン化アルミニウムや臭化メチル、そして青酸ガスであるシアン化水素などをガス化させるものです。農薬にはいくつかありますが、これらは害虫のタイプや植物の性質によって使用されるものが異なります。また、こういった植物のくん蒸を実施する際は、植物に差し障りがない程度で行い、期待されるだけの殺虫の作用があり、人体に悪影響を及ぼさないことを確認する必要があります。このため、くん蒸を行う時間や用いられる薬の量が規定されています。 くん蒸処理を野菜や果物を対象に行う場合、シアン化水素がよく用いられます。この農薬は、くん蒸処理後に残ることはありません。というのは、シアン化水素そのものは揮発性が強く、普通の温度では気体で存在するためです。一方、農薬として臭化メチルを用いたケースでは、微量の臭素が残ってしまうこともあります。しかし、日本の規定する残留農薬基準よりかなり低くなっているため、人体に悪影響はないと言われています。