変異型クロイツフェルトヤコブ病

イギリスで1986年に発見されたのが日本名で牛海綿状脳症と呼ばれるもので、略してBSEです。牛の疾患ですが、はじめて発見されてからヨーロッパ中に拡大したため、注目を浴びました。国内でも、牛が感染した症例がちらほら見られましたが、全部焼却されているそうです。この病気は、神経系統に障害が発生して最終的に死亡するものですが、これは体の中に存在する蛋白質のプリオンがその形態を異常に変形させてしまうことが原因です。全世界で衝撃が走りましたが、明確な発症原因は分かっていません。しかし、感染経路は飼料に肉骨粉を用いていた地域であり、この飼料に汚染された異常プリオンが混入していたと考えられています。この病気の恐ろしいところは人間に感染すると、ほぼ死亡するということです。その死亡率は百パーセントと言われており、人間がBSE感染牛の脳や脊髄、眼などを食べた場合、変異型クロイツフェルトヤコブ病を招く危険性があります。 通常、料理の際に焼いたり煮たりすると細菌は消滅しますが、異常プリオンはこれに影響されないと考えられています。ただ、この異常プリオンに汚染されている場所が特定されていて、これには脳をはじめ、回腸遠位部、眼、脊髄が該当します。牛を処理する場合、日本では全頭を対象にBSE検査が実施されています。これには、感染しているかどうかは関係なく、上記に該当するリスクの高い部分は全て取り除いて、焼却しています。そのため、市場に流通している牛肉には安全性があるものと考えられます。こういった日本の対策は世界でも非常に高く評価されており、牛エキスを用いた加工食品なども厳格に対処されています。