高齢者の腎症早期発見

腎症(じんしょう)は、血糖コントロールが良くないと、一般的に糖尿病の発病から10年程度で発病する傾向があります。ただ、2型糖尿病の方の場合、発病がいつからか決めにくいことから、糖尿病の症状を患っている人は、年に一回は、予防という観点から、微量アルブミン尿検査を受けた方がいいでしょう。糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)は、自覚症状が現れにくいので、知らないうちに進行するものです。尿タンパク検査で陽性反応を示したり、体のむくみがあるなど自覚症状が現れた時には、かなり腎症が進行していると考えられます。治療も腎症の悪化を遅らせることが目的となってしまいますので、できるだけ早期に発見することが大切です。 糖尿病は、年齢と共に増加する傾向があり、また、加齢によって、合併症になる確率も高くなります。60歳以上の方においては、六人に一人という割合で、糖尿病の症状の方がいらっしゃいます。高齢者の方の特徴として、自覚症状が現れにくく、年のせいにしてしまうことが多いです。あきらめや家族へ気を使って治療の意欲が低下している上に、今までの生活習慣をなかなか変えられない、血糖値の割りに尿糖が少なかったり、動脈硬化(どうみゃくこうか)が急速に早まりやすいなどがあります。高齢者における合併症の楽観的な見方として、「加齢と共に合併症の進行も遅れる」というものがありますが、高齢者においても、合併症は確実に進行します。そのため、血糖コントロールの適正値の維持が大切になってきます。