牛乳アレルギー
新生児期に調整乳や牛乳を飲ますとアレルギーを引き起こす原因になるとして注目されていましたが、これは赤ん坊の消化の能力が低いことに理由を求めることができます。というのは、消化力がない新生児は、アミノ酸にまで蛋白質を分解しにくいためです。分解しきれていないと、分子は大きな状態で残ることになり、これが容易に腸管壁を通過してしまいます。腸管が未熟で完成されてないためで、腸管壁から取り入れられた分子は血中に流入すると抗原として作用します。つまり抗体を生成してしまい、吸収された大きな分子は異物として体に認識されます。結果として抗原抗体反応が発生し、牛乳アレルギーを引き起こします。これは何も牛乳に対してだけ言えることではなく、例えば豆乳を使った場合、大豆アレルギーを招く恐れもあります。一般に、牛乳を原料として作った調整乳を母乳の代替用として与えているから牛乳に対するアレルギーを生じるわけで、これが豆乳ならば、大豆に対するアレルギーを招く可能性があります。
一方、母乳も蛋白質を含有しているため、同様の結果を招くことが考えられますが、母乳の場合、もともと人間の体が作っていることから異物として認識されないようです。また、免疫グロブリンAと呼ばれる物質が母乳に含有されていることから、これが腸壁を通過して大きな分子が取り込まれるのを阻害していると言われています。この免疫グロブリンAはもともと赤ちゃんの腸内でウイルスや細菌の感染を防止するために作用しているようです。
症状が現れた場合、個人差はあるものの消化器症状が非常に多くなっています。一番多いのは下痢で、次いで嘔吐や腹痛、アトピー性皮膚炎といった順になっています。尚、蛋白質が変性するとアレルゲンとしての特徴を低下させるため、赤ちゃんへ与える離乳食は熱を加えた方が良いといわれています。変性とは蛋白質の分子構造を加熱によって破壊した結果生じる現象です。