解離性大動脈瘤と大動脈解離
真性、仮性、解離性に分類され、このうち最も危険性の高いとされるものが解離性大動脈瘤(かいりせいだいどうみゃくりゅう)です。真性大動脈瘤は、壁が脆弱化し、全体が膨張している症状です。仮性大動脈瘤は、血圧の上昇に伴って破裂しやすい傾向があり、大動脈壁の一部分が欠損し、その部分から流出した血液が周囲の組織細胞を圧迫することによって発生するコブを言います。解離性大動脈瘤は、血管内部に血液が蓄積して発生するコブのことで、三層構造からなっている大動脈内膜が裂傷しその部分から血液が流出して中膜を解離して引き裂く症状です。この症状は40歳以降の男性に多いと言われています。三層構造から構成される大動脈の壁は、内膜、中膜、外膜からなりたっています。解離性大動脈瘤では、まず内膜が裂け、更に中膜にも裂傷が入り、その隙間から血液が流出し、中膜と外膜の間に血液が蓄積されて行きます。時間の経過と共にコブ状に血管が膨張し、次に外膜が破れると大出血に至ります。外膜は血管を覆っている薄い膜のことで、これが裂けると死に至ることもあります。主な症状は、突然引き起こされる激痛で、その痛みは全身へと拡大して行きます。また、コブの発生も少しずつ膨張して行くのではなく、突然血管が裂けて発症しますので、危険性の高い病気と言えます。尚、大動脈に関わる病気では、大抵自覚症状がほとんど現れません。病気が現れるまでは、普通の生活をしていた人において、突然大動脈瘤が破裂してしまうケースが多いと言われています。特に解離性の場合は突然発症するのが特徴で、真性動脈瘤や仮性動脈瘤などでは、コブの発生箇所によって気づくこともあります。