断食中の甲状腺ホルモン減少は浮腫防止?
腹部や皮下に蓄積されている中性脂肪は断食によってエネルギーに変化します。これは重篤な高脂血症の人でも顕著に数値として現われます。一方、断食最中は甲状腺ホルモンの分泌が少なくなるため、総コレステロールの数値は一過性に上昇するケースがあります。このホルモンには新陳代謝を促す働きがあるためですが、浮腫を防止しようとする体の作用によるものという考え方もあります。体内に食物が入ってこなくなると、血液に含まれる糖質や中性脂肪は極端に減少します。これによって血液は粘りを増して、密度が濃くなってしまい、浮腫が見られるようになります。体がこれを防止しようとするため、血中の総コレステロールを上昇させるという考え方です。しかし、断食を終了させて、通常通りに生活しだすと、総コレステロール値は低下する一方で、善玉のHDLが上昇するため、動脈硬化などの予防につながります。
尚、空腹感は断食を行ってからしばらくすると感じなくなる傾向にあります。これは血中に存在するブドウ糖が12時間程度で消失し、これに変わって体内に蓄積された脂肪や老廃物の蛋白質がエネルギー源として使われ出すからです。また、こういった状態が数日継続すると代謝に乱れもなくなり、気分もさわやかになり、気持ちも良くなってくる傾向にあります。これは、今まで摂取した食物からエネルギーを得ていた体が断食によって、体内に溜まっていた物質をエネルギーとして使い出すためで、要するに補給経路が変化したことによって空腹感を生じなくなるようです。