乳糖不耐症
医学的見地から牛乳一リットルを飲んだ際、三十分以内に血糖値が100mlの血液に対し25mg以上高くなった場合に乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)と診断されます。牛乳一リットルというのは、乳糖50グラムに相当しますが、検査では乳糖を用います。しかし、一気に牛乳を一リットルも飲むということはあまり考えられないため、診断基準としては疑問の余地があります。また、これをもとに考えた場合、世の中のほとんどの人が不耐症ということになります。
気になるのは当該症状を持つ人が牛乳を飲んだ際、同時に摂取したものが全て下痢になってしまうのではないかというところです。現実には全て吸収されないことは有り得ないのですが、当該症状があってもカルシウムは比較的体に取り入れられているようです。これは小腸で吸収されなかった乳糖が大腸へ移動してしまうことが原因で下痢を生じるためで、小腸ではカルシウムをきちんと取り入れています。
牛乳を飲む際は一度に一気に飲むのではなく、少しずつ緩やかに飲むのが良いと言われています。これはゆっくり飲むことで胃から腸へ一気に牛乳が移動しないためで、結果としてラクターゼ活性が高くなくても、消化が追いつくことに由来します。つまり、一日一回で沢山飲むより、一日のうち、朝、昼、晩といった感じで分けて飲むのがいいということです。ただ、牛乳は料理に加えてしまうのも薦められます。また、ヨーグルトなどは乳酸菌がラクターゼを持っているため、当該症状を防ぐことができます。加えて言えば、乳酸菌と牛乳を同時に摂取しても同じです。
その他、チーズは製造の際に乳糖が全て取り除かれており、不耐症を招くことはありません。近年では牛乳の乳糖が前もって分解されている商品も見られますが、これはラクターゼでブドウ糖とガラクトースにあらかじめ乳糖を分解している製品です。このため、ラクターゼ活性が低くても下痢を招くことはありません。