pH調整剤
酸性とアルカリ性の比率を適切な値にコントロールするもので、香りや食味に影響を与えるものではありません。pHを適切にすると食品の保存性を良くし、色調を整え、変色も起こらなくなります。また、加工の条件も良くし、品質を安定化させます。食物の保存状態はこのpH調整剤(ペーハーちょうせいざい)と共に日持向上剤や保存料を組み合わせることで、より向上します。
食物には様々な天然色素成分が含まれておりますが、pHを適切にコントロールすることでこの色調も安定化させることができます。更にホイップクリームでpHを適切にするとなめらかな形状に仕上げます。分離を防いだり、沈殿を抑える働きもあることから、コーヒーホワイトナーといったものでは役立ちます。また、組織の硬さを一定にするのにも関わっているため、ゲル状のプリンやゼリーといった食品には有用です。
食品添加物では有機酸塩類のDL-リンゴ酸ナトリウム・クエン酸三ナトリウム、リン酸類のフィチン酸・リン酸二水素ナトリウム・リン酸、有機酸類のDL-リンゴ酸・クエン酸、炭酸塩類の炭酸水素ナトリウム・炭酸ナトリウム・炭酸カリウムといったものがあります。
クエン酸の原料はでん粉や糖蜜であり、発酵させて作ります。柑橘類であるミカンなどに含まれている酸味成分となります。リン酸は加熱処理によってリン鉱石を酸化させ、水に取り入れて作られます。酸味も高く、液体状で無色透明になっています。炭酸ナトリウムはアンモニア、二酸化炭素、食塩の反応から造られます。アルカリ性pH調整剤であり、水へ容易に溶け出します。リン酸水素二ナトリウムはリン酸二ナトリウムとも呼ばれていて、炭酸ナトリウムをリン酸によって反応させたものです。DL-リン酸は加圧水蒸気でマレイン酸に熱を加えて作り出したものです。クエン酸三ナトリウムは、炭酸ナトリウムでクエン酸を中和させて作られます。かまぼこやゼリー、ジャムなどに用いられます。