リン脂質と不飽和脂肪酸
リン脂質は細胞膜を構成している物質で、内と外からそれぞれピンを伸ばしているような構造をしています。いわばリン脂質が二層になって細胞を取り巻くような感じになっており、それぞれの細胞間を区切るよう形で存在しています。その役目は、細胞の内側と外側で物質の移動をさせたり、細胞核を保護したりするといったものです。細胞膜の材料は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸などですが、この膜をきちんと機能させるにはいずれの物質も欠かせません。リン脂質からは二本の足が出ていますが、このうち一方が動物性脂肪に多く含有されている飽和脂肪酸で、残ったもう一方が魚や植物に多く含有されている不飽和脂肪酸となります。前者の足は直線状を形成していますが、後者のそれは曲がっています。分子レベルでは「く」の文字のような感じになっています。こちらにはオメガ3、6、9という不飽和脂肪酸が材料として使われており、折れ曲がりから生じる柔らかさは3が最も強く、9が一番弱くなります。これは折れ曲がった角度に由来するそうで、即ち柔軟性の程度に影響します。従って、材料として使われる不飽和脂肪酸の種類によって、リン脂質の形状や特徴も多少違ってきます。
尚、細胞膜は脳をはじめ、皮膚や筋肉、血管、内臓といったあらゆる細胞に存在しています。つまり、体の個々の細胞すべてにこの膜があります。構成している材料はリン脂質が中心であり、これがギッシリと並んで細胞膜を形成しています。