酸化防止剤
発癌物質の発生を抑制したり、微量栄養素であるビタミンの分解を防ぎます。これは栄養価を持つ食品の性質を落とさないようにする働きであり、他にも風味や色調の変化を防ぎます。酸素は空気中のおよそ二割程度と言われていますが、人間が生きていくためには不可欠なものです。しかし、油脂を多量に含有する即席麺やマーガリンなどは、その油脂を酸素が引き金となって酸化させてしまいます。こうなると味の劣化や変色に留まらず、有害物質である過酸化物をも発生させてしまいます。また、油脂に限らず、微量栄養素など他にも多くの物質が酸化によって悪影響を与えられます。更に酸化は空気中の酸素だけでなく、温度、酵素、光線なども影響しています。このため、食べ物の酸化を防ぐためには、空気に晒さないだけでなく、冷暗所に保存することも重要となります。
魚油や植物油といったものは多くの不飽和脂肪酸が含有されているため、他の食物より容易に酸化傾向を示します。酸化防止剤(さんかぼうしざい)は、食物の身代わりになるもので、自らが酸化され、他の食物へそれが及ばないようにする働きがあります。
種類では水溶性のものと油溶性のものがあります。L-アスコルビン酸やL-アスコルビン酸ナトリウムなどが広く知られていますが、水溶性では他にもピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムといった亜硫酸塩類やエリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムといったエリソルビン酸類があります。またカテキンやエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなども水溶性です。一方、油溶性ではdl-α-トコフェロールやミックストコフェロールといったトコフェロール類が知られています。油溶性では他にも、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)、そしてクローブやペパー、ローズマリーといった香辛料抽出物があります。L-アスコルビン酸パルミチン酸エステルやステアリン酸エステルはL-アスコルビン酸を油溶性にしたものです。